会の名称にしている「対話のある教室」って変な表現だなと感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
対話が充実している教室とか、対話を大事にした学級経営とかじゃないの?という声があがる気もします。
しかし、本会が「対話のある教室」としたのは、そもそも教室に対話があるのか?という問題提起があるのです。
おそらく、教師が「話し合いましょう」と指示すれば、多くの教室では対話のような活動に取り組むことでしょう。
けれど、その活動が、単に先生に言われたからという受動的なものであれば、そこに「対話はない」と本会では考えるのです。
生活場面おいても、仲良しの友達とのおしゃべりだけに興じたり、自分のやりたいことを押し通したりするような状況も、同様に「対話はない」と考えています。
ご存知のように、対話の定義や条件は、研究領域や文脈によって様々です。
本会では、対話は、仲間の考えに自分を開き、異なる発想から自分を見つめ直したり考えを再構築したりするきっかけとなる言語行為であり、新たなアイディアを共に生み出す喜びを実感・共有する場であってほしいと考えています。
すなわち、
①オープンマインドの精神
②異質性・他者性との出会い
③再帰性
④創発
⑤関係づくり
の5点を対話たらしめる要素としたいと思います。
もちろん、場面や子供の発達段階によって、その程度は様々なグラデーションがあることでしょう。
特に小学校での対話を考える際は、それでよいと思いますし、はじめからしっかりとした対話ができるというよりは、だんだんと高めていくことをめざした方が現実的だといえます。
もしかすると、特に①〜④の要素は、学習場面における対話ではイメージしやすいものの、生活場面では「?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、例えば、「対話のある教室」では、仲の良い友達だけでなくクラスのみんなの意見を聞いてみよう、トラブルになっちゃったけど話し合って解決するために相手の思いを聞いてみよう、と考える子が増えてくることでしょう。
また、他の仲間の意見を聞く中で、自分は何を大事にしたいと思っているのかに気づいたり、みんなの思いができるだけ生かされるようなアイディアや解決方法を生み出したりすることも期待できそうです。
そういう教室では、「先生ちょっと話し合う時間をくれませんか?」という子供たちからのリクエストが様々な場面で出てくることでしょう。素敵なクラスだと思いませんか。
以上、「対話のある教室」についての本会の思いを説明しました。
話し合う活動を設定していれば「対話のある教室」になるわけではない、ということをご理解いただけたと思います。
では、どういったアプローチがあるか。
この会の活動を継続することで、その実践知を集めていきましょう!