対話力のアセスメントの指標として作成した「5ラインズ」ですが、広まりと共に新たな活用方法が見出されています。
「5ラインズ」には様々な対話スキルが含み込まれていますので、ある意味、子どもたちの対話の完成形が示されているとも言えます。
しかし、対話についての理解が発展途上の子どもたちに、トップダウンで「5ラインズ」を提示しても、「難しそう」「こんなには出来ない…」というマイナスな感情を生んでしまうかもしれません。
そこで、オススメしているのが、子どもたちと発見した対話スキルを「5ラインズ」として整理しながら、だんだんと充実させていく方法です。
この方法ならば、どのようなふるまいかを理解した上で新たなスキルが加えられていきますので、子どもたちも難しさを感じにくくなります。自分たちのクラスで生み出されたものですので、取り入れられやすくなるようです。「5ラインズ」に色々なスキルが加えられていくことを通して、自分たちの対話力が高まっていることを実感することにもつながります。
ご存知の通り、対話力を育てるには粘り強い取り組みが必要です。前の学年までにほとんど取り組まれていなかった場合、高学年でも下学年で指導したいレベルからスタートしなければならないということも多々あります。
そのため、学校全体で共通して対話指導に取り組むことはとても効果的です。校内研究として対話力アップを図っている学校では、「5ラインズ」を共通の指標とするのも良い試みとなります。ある学校では、下学年版「5ラインズ」と上学年版「5ラインズ」を作成し、各教室に掲示されていました。指標を共有することは、各担任が責任もって対話指導に取り組むことにつながりますし、互いのクラスの対話を見る際にも共通の言葉で評価し合うことが可能になります。
教師のアセスメントと目標設定のために開発した「5ラインズ」ですが、高学年以上では自己・相互評価のツールとしても活用可能です。
この点については、サイト内に少し詳しく書いておきましたので、そちらを参照してください。
近年の教科書では、話し合い指導単元には、紙面上あるいは指導書上に話し合い例が載せられていることが多くあります。この話し合い例も「5ラインズ」を使って分析すると、よい教材研究になります。
【方法1:既習と新規の話し合い例を比べる】
話し合い例を見ながら、「5ラインズ」を用いてどのスキルが活用されているかをチェックしてみましょう。出てきたスキルにマークをしていくのがオススメです。その後、前学期や前年度に実施した話し合い例も同様にマークしていきましょう。すると、新たに扱うスキルが明確になるはずです。そのスキルが子どもたちに馴染みの薄いものであれば、授業でしっかり取り上げて、どんな働きをしているかを確認すると良いでしょう。繰り返し出てきたスキルについても、言い回しが異なることがありますので、そういった場合はバリエーションを増やすことを促したいものです。
【方法2:クラスの実態と話し合い例を比べる】
方法1と同様に、話し合い例を見ながら、「5ラインズ」を用いてどのスキルが活用されているかをチェックします。それらのスキルのうち、クラスの現状でしばしば活用されているスキルはどれでしょうか。あるいは、あまり活用されていない(=馴染みの薄い)スキルはどれでしょう。このように見ていくと、クラスの実態に応じて、軽重をつけた指導がしやすくなるはずです。あまり活用されていないスキルが多いようであれば、次のような対応をするとよいでしょう。①少し前から新たなスキルを獲得するために話し合いの練習に取り組む、②話し合い例を教師がアレンジしてクラスの実態に合わせる。
逆に、喜ばしいことに、ほとんどのスキルを子供たちが既に習得している場合は、どうでしょう。その場合は、話し合いの進め方への意識を高めることに指導を焦点化することをオススメします。